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医師と意思の力

トキコクリニックについて|December 10,2007 8:25 PM

毎日、皮膚のいろいろなトラブルを抱えている患者さんと接していると、時に医師としてできる治療の限界を感じてしまうこともあれば、それとは逆に、患者さん自身の持つ「治る力」に驚かされることがあります。

その「治る力」とは、なんなのか。

患者さん個人の持つ、免疫力や若さ・体力とも違う「治る力」は、自分で治すという「意思」に近いものではないかと思うのです。

例えば、アトピー性皮膚炎の場合。

患者さんは長期間さまざまな症状を抱え、あれこれと治療に取り組みながらも、良くなったり悪くなったりを繰り返しているケースが少なくありません。
アトピー性皮膚炎の原因が100人いれば100通りある様に、治療法も100通りあると私は思っています。
ステロイドなどの薬による治療だけでなく、鍼灸や漢方、あえて脱ステロイド療法を選ぶのも治療のひとつ。
つまり、私が医師としてできることは、さまざまな選択肢を提示すること。
そして、患者さんにしっかり寄り添って、患者さんの意思で、患者さん主体で治療を選び、ともに治療に取り組んでいくこと。
決して、医師が独りよがりの治療方針を押し付けたり、あれこれやりすぎても、それは患者さんの「治る力」には結びつかないのではないでしょうか。

病気の治療も人生の一場面にすぎません。
そう考えると、治療もあくまで主人公は患者さん自身。
医師に身を預けるのではなく、自分の意思で治療に取り組むことこそが、自分の「治る力」になります。
そして、医師はしっかり寄り添うことで、その患者さんの意思を支える力になる必要があります。

ともすれば、突き放した意見のように感じられるかもしれませんが、皮膚のトラブルとストレスはとても密接な関係があり、そのストレスを取り除くには、患者さん自身が納得して治療を選び取り組まなくては、治療のつもりが逆にストレスになることすらあります。

例えば、痒くてたまらない患者さんに対して、いくら皮膚のためには掻かない方がいいと医学的には判断できても「掻いていいよ」と私は言います。
掻くことをガマンするのは本当に辛いこと。
そして、掻いてしまったことで、さらに辛い症状を抱えるのは患者さん自身。
もちろん、掻いてしまったことへの自己嫌悪も抱くでしょう。
そんなにたくさんの辛い思いを、患者さんがストレスとして抱えることの方がよくない。
それなら「掻いていい」と自分で許すことで、多少掻いてしまっても気にしないでいることができる。
結果、気持ちが楽になり、掻くことも少なくなるはず。

医師がまずすべきことは、処方箋を出すだけではなく、患者さんの心と向き合い、患者さんと寄り添って、患者さん自身が自分の意思で治そうとする「治る力」を引き出すことなのではないかと思うのです。

自分の力を信じて治そうという意思さえあれば、「治る時」は必ずきます。

医師として患者さんの「治る力」、人間の意思が持つその力の素晴らしさは、これまで何度も目の当たりにしてきました。

いつか必ずくる「治る時」を待つのは、辛く長い時間になることも。

でも、必ずくるその時まで、医師としては、人生の主役の患者さんの意思「治る力」を支えたい。

そう思って患者さんの待つ診察室へ、今日も向かいます。

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