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私の好きなレストランの話

はぴトレについてトキコクリニックについて|July 11,2009 8:50 PM

なんとも不思議なレストランの話。
カウンターとテーブル席が5つほど。
30人も入れば満席になる、小さなイタリアンのお店。

並びのお店ではこの不況で閑古鳥が鳴いていて、お一人様一万円以上のセレブなお寿司屋さんも噂じゃこの3日間坊主らしいのに、そのお店の小さな扉の向こうは、ランチタイムもディナータイムも、平日も週末もにぎわっているという、不思議なお店。

お客さんも様々。
ランチタイムに見かけるのは、幼稚園帰りのお子様連れマダムのグループや、OL風からスーパーの買い物袋を抱えたオバサマまで、お一人様も様々。
雑誌で見かけた某有名ホテルのホテルマンがカウンターでパスタをほおばっていたこともある。
そして、その隙間には、微笑ましい学生風カップルの姿も。
ディナータイムもまた様々。
ご家族連れは3代から4代御一行様まであらわれる。
熟年夫婦がワインを飲んで語り合い、その隣のテーブルでは付き合って間のない二人が乾杯している。
ビジネスマン風の姿もみかけるけれど、そういう人はもう大抵上着を脱いでいて、誰もがリラックスしていて、騒がしくはないけれどとてもにぎわっている。
つまり、客層というものが、存在しない。
けれど、どのお客さんも大好きで大切な存在と一緒に楽しい時間を過ごしている。
そんな不思議なお店。

お店のスタッフは6~7人。
次々と舞い込む注文を互いの目配せで黙々とこなして、時々少しの言葉を交わして笑い合っている。
慌ただしい様子すらみせない。
そして、どのスタッフも、その怒った顔を想像させてくれない、不思議なお店。

オーナーの男性は40代だろうか。
料理を作ったり、時にはフロアサービスもしたり。
「雨ニモマケズ」のフレーズにある「イツモシヅカニワラツテイル」がとても似合う人。
いつも穏やかでにこやかで、新しい注文を通す声ですら客である私がこれで聞きとれるのかと心配になるような大きさ。
だけど、常に「喜んで!」と怒鳴る居酒屋よりも、お店はずっと繁盛している。
そんな、不思議なお店。

お店は繁盛しているから、混雑してくると厨房もフロアもかなり慌ただしいはずだ。
でも、どんなに慌ただしくても、誰も声を荒げることがない。
スタッフは互いに目を配りながら、気が付いた人がそっと動く。
狭い厨房の奥からピザをサービスしてきた男性が、折り返してきて水をサービスし、パスタを盛りつけた女性が、カウンター越しに注文を聞く。
オーナーはその隙に味見をし、スタッフの耳元で何かを囁く。
気が付くとどこかのテーブルに、お店からサプライズのデザートが。
小さなゲストの誕生日だったらしい。
ハッピーバースデーの歌に、見知らぬ客同士が手拍子をする。
吹き消されたローソクに拍手をしたとき、この不思議なお店の魅力に気が付いた。

料理ももちろん美味しい。
お値段も手ごろ。
だけど、そんなお店は数多ある。
もし、過剰なサービスを求めるなら、いくらでもこのお店よりいいところはあるだろう。
けれど、このお店に不思議なほど人が集まるのは、本当の意味での「家族的」(アットホーム)な魅力があるからなのではないだろうか。


このお店はスタッフ全員で年に1回沖縄旅行をする。
あるとき、その沖縄旅行のアルバムを見せてもらった。
仕事を離れてリラックスしたスタッフは店で見るそれよりもぐんと若く見えて、それはリラックスして過ごす時間こその歳相応の姿なのだろう。

けれど、オーナーの写真が見当たらない。一枚もないのだ。
聞けば旅行中、ずーっとカメラマン役をしていたそうな。
アルバムの最後のページには、店のメニューと同じ癖のある几帳面な文字で書かれた旅程表がはさんであった。
オーナーは、行先やホテルだけでなく食事する店まで調べ、旅のプランを練り上げたのだろう。
そして、旅の間はカメラマンに徹している。
いつも店を支えてくれるスタッフが、いかにリフレッシュして楽しめるかを考え抜いた、オーナーがスタッフご接待する旅。
それはまるで、お父さんが夏休みに家族サービスのために練りに練った、家族旅行のようだった。

アルバムからも感じられた、この不思議なお店の最大の魅力である「家族的」なサービスは、「家族的」なスタッフだからこそ提供できるサービスなのだろう。
ここ最近はどこの業種も、人の入れ替わりが激しい。
店により条件が多種多様な飲食業なら尚更だと思うのだか、この不思議なお店のスタッフは全く入れ替わりがない。
それは、オーナーが「家族的」であることも含め、スタッフをとても大切にしているからだと思う。
それは何も皆で旅行に行くことではなくて、自分の技術を提供することでもない。
仕事のスキルアップをきちんと図ることももちろんだが、オーナーが「家族的」な視点で本当に人を大切にしているからなのではないだろうか。

トキコクリニックも不思議なお店同様、スタッフの入れ替わりが少ない。
けれど、この業界も人の入れ替わりの激しい業種。
クリニックは数多あり、条件次第で職場を選べる。
私は人の入れ替わりを、働く人が自分を生かせる環境を自分で選ぶ時代がきたと考えれば、それはそれで悪いことではないと思っている。
けれど、だからこそ、働く人に選んでもらえるクリニックでありたい。

レストランでも、クリニックでも、人を相手にする仕事でスタッフを大切にできなければ、お客様に満足していただけるはずがない。
料理でもエステでも、味や技術はそれをサービスする人の手によって評価が変わる。
つまり、その「人」こそが店の宝なのだ。

こんなところに、こんなことを書くのは照れくさいけれど、これから私はもっともっとスタッフを大事にしていこうと思う。
今までクリニックを支えてくれたスタッフには、本当に感謝の気持ちばかりだし、家族以上の時間を共に過ごせる存在は、ある意味で本当に家族以上の気持ちがあるからなのだけれど、それでも、もっともっとスタッフを人として大切にしていきたいと思う。

コトキブログにも、記事が。

いつまでも、大切な人とご一緒していただける場所であるように、「家族的」なサービスを信頼していただけるように。
私と同じく、スタッフも同じ思いでいてくれることが、本当にうれしく心強い。
これからも、お客様はもちろん、スタッフひとりひとりを「人」として大切にしていきたい。

その「人」こそ、私の大切な宝物なのだから。

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コメント

Posted by 永幸 | at July 14, 2009 11:05 PM

トキコ先生お疲れ様です。
いつもパワーを頂きありがとうございます!

すごくイイお話しですね〜
何だかジィ〜ンとしました。
人が増えれば、皆が同じ温度差でいることは難しい事ですが、トキコ先生の優しい想いは、スタッフや患者様に必ず伝わっているはず!
私も、頑張ります!
今後ともご指導よろしくお願いいたします。
感動でした!

Posted by tokiko | at July 16, 2009 3:17 PM

永幸さん、素敵なコメントありがとうございます。

私は、スタッフにとって、厳しくお父さんでいようと、
心がけているんです。
でも時々、お父さんは暴走します。
それをベテランスタッフが、優しいお母さんとなって
まとめてくれます。

そうやって、なんとか大家族がなりたっていっている感じですね~

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