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「クスリ」この悩ましいもの

トキコクリニックについて美容・健康について|June 10,2010 11:35 AM

最近、「クスリは飲んではいけない?」というタイトルの本の広告を、新聞で見つけました。
とても攻撃的なタイトルなので読んでみたくなりましたが、アマゾンで検索、レビューを読むと、買うほどのことでもないかなーと(作者さん、ごめんなさい!)思い、注文は断念。
したがって読んでませんので、内容はわかりません。
しかし、今日はこの本の内容を論じるわけではありませんので、ご容赦を。
他にも、インスリンをやめよう、みたいなタイトルの本にも目が吸い寄せられる今日この頃。

クスリをやめたほうが病気が治るってこと、確かに、ステロイドをやめたらかえってアトピーが治った患者さんを、たくさん見ている皮膚科医の私にとっては、そう違和感のある話じゃないんです。
でも、はたして他の人は一体どう考えているのでしょうか。
病気のこと、クスリのこと、健康のことを。

私たち医者は、病気の患者さんに対して、クスリをお出しすることで治療するのが当たり前とされてきました。
患者さんも、クスリをもらうことが治療だと信じて疑わないのが現状です。

たとえば皮膚がかゆいんですと患者さんが言う。 皮膚科医がステロイドを出す。
たとえば眠れないんですと患者さんが言う。 精神科医が睡眠薬を出す。
たとえば胃が痛いんですと患者さんが言う。 内科医が胃薬を出す。
たとえば腰が痛いんですと患者さんが言う。 整形外科医が鎮痛剤を出す。

間違いじゃない、間違いじゃないんだけれど、なにかしっくりこない。

本当に治るには?
本当に治すには?

医者にも患者さんにも、それに取り組むのはとても覚悟と忍耐がいることなんです。
患者さんが症状を訴えれば、医者はそれを解決するために、クスリを出します。
クスリが出たら、患者さんは医者を信じるしかないのでそれを飲みます。
しかし症状を抑えるだけのクスリだから、クスリがないと症状がまた出てくるということも多いのです。
だからまたクスリをもらいに行き、医者はまたクスリを出す。
その繰り返しのうちに、症状は少しずつ悪くなっていくのです。

私は、実は、小さい時からずっと体力がなくて、小学校の時から足がむくんでいて、冷え症で、にきびがひどくて、便秘で、不眠症で、よくうつっぽくなって、いらいらしていて、覇気のない子供でした。
でも日常生活は普通に送っているので、本人も親も、治療の必要があるとは思いもよりませんでした。

医者になってから、不眠の時は睡眠薬を飲めばいいと覚えました。
気持が落ち込みがちになったら抗うつ剤を飲めばいいと知りました。
ニキビがひどければ抗生剤を飲む、便秘には下剤、頭痛には鎮痛剤、クスリで何でも解決できるような気がして、新米の医者であった当時の私は、医学ってすごいと有頂天になり、万能感を感じたものです。

そんな私が変わるきっかけは、今から振り返るとやはり、ステロイドをやめたいというアトピーの患者さんのお手伝いをするようになったことでしょう。
もちろん当時は自分の体のことと結びつけて考えることはありませんでしたが、クスリを使わずに病気が治るのは「自然治癒力」、あるいは「自己免疫力」なるものの力なのだと知ったことが、私の現在の治療の出発点でした。

アトピーの患者さんを治したくて、自然治癒力を引き出す可能性のある治療は、なんでも勉強しましたし、良いと思ったらそれがいかに普通の医者からすれば突飛に思えるものであっても、取り入れてきました。
そしてそれがなんと、アトピーの患者さんだけでなく、実は私自身を治す治療となっていったのです。

結局のところ、クスリというものは、応急処置としては使う価値があるけれども、ずっと使うつもりではだめだというのが、今の私の考えです。
ずっと使っているということは、治っていないということです。
ずっと使おうとすることは、治ろうとするのを放棄しているということです。
どうしたらもっと元気な身体が作れるか、どうしたら病気を本当に治すことができるのか。

今トキコクリニックで提案している様々な治療は、体質改善を目指すものが多く、自然治癒力を高める効果を意識しています。
もちろんクスリも使います。医者ですから(笑)。
でも、一緒に治りたい。私が元気になったように、患者さんにも元気になってほしい。
だから今日も、「うるさいことを言う医者だなあ、クスリをくれるだけでいいのに」と、時には思われながらも、くどくどとこういったことを説明する診察を続けているのです。

最近は、体質改善を希望し、本当の健康と、そしてその結果得られる美を求めて、来院される患者さんが増えてきて、私がお役にたてる機会が増えてきました。
それがとても嬉しいです。
欲張りの私は、もっともっとたくさんの患者さんにそのことをわかってもらえるにはどうしたらいいのかと考えます。
どうやら、試行錯誤の日はまだまだ続きそうです。

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コメント

Posted by キョロちゃん | at June 23, 2010 8:20 PM

トキコ先生
いつもお世話になっています。先生が日々いろいろ考えて「こうしたらいいんじゃないか」「ああしたらいいんじゃないか」と悩まれる姿に感動します。医者だから当たり前という人もいますが、やはりトキコ先生が熱く生きている人だから人に感動を与えるんだろうなぁと私は思っています。私も熱く生きたいと思っています。今日は認知症について、ニュースでやっていました。認知症といっても、アルツハイマー型、レビー小体型、ピック病、正常水頭症、アルコール依存によるもの、外傷によるもの、とさまざまあって、医師の診断が改善のキーポイントになること、また、脳だけでなく心臓など体全体の疾患であることもわかってきた、などと言ってました。それを見ていると、トキコ先生がいつもいってらっしゃる「健康だから○○」ということが、浮かんできました。医療がこれだけ進歩しても人間の体ってまだまだ分からないことが多く残っている。外見だけを考えがちな女性も多くいますが、「健康だから美しい」というのは真理だとおもいます。周りに精神疾患を抱える人が沢山いるので、どうしてあげたらいいのか、専門家ではありませんが、私自身も悩んでます(抗鬱剤や睡眠薬をアルコールと一緒に飲んでるとか。ほんとに患者はお医者さんのいうことを聞きませんね。私もその一人かも。ごめんなさい。)信頼できるお医者さんを見つけるというのが、とっても大事だなと思いました。私も認知症にならずにポックリいきたいと思ってます。そのためにも健康でなくてはならないのかな?そんなふうにも感じました。

Posted by tokiko | at June 29, 2010 5:14 PM

キョロちゃんさん

いつもコメントありがとうございます!
本当に、人間の身体って、わからないことだらけですよね。

わからない。
ということから出発したいと思います。
わからないからわかりたい。

そうやって医学は、いや全ての科学が発展してきたのでしょうね。

お互い、認知症にならないよう、
いつまでも健康でがんばりましょうね!!

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